昨年前半から急激に受注が減少したため、やむを得ず雇用調整助成金の申請を行い、 10月から毎週金曜日を一時帰休日とした。その為、協立の経営に不安と不満を持った社員が、自ら新たな道を選んで会社を去っていった。一時帰休を実施するに当たり、経営者はもちろん管理者層にも減給をお願いした。この間、大変苦渋の選択をいくつもせざるを得なかった。2月・3月若干の受注回復基調と社員の減少で操業を維持できるようになったので、3月20日をもって一時帰休を解消し、通常勤務に戻ることにした。
2年前の3・11で工場や社員の家も被災した。工場は社員と200人を超える応援者のおかげで、2週間足らずで復旧を果たすことが出来た。その後、急激な受注の増加で生産が間に合わず、設備投資と人員の増強も行ったが、お客様に迷惑をかけてしまった。この年の売上高は過去最高を記録したが、人員の増加が利益に結びつかず、計画を下回ってしまった。ようやく体制が出来上がった時には、先行きの需要に陰りが見え始め、一時帰休の決断をせざるを得なかった。
世界の経済が結びつき、グローバルという言葉が一般化して久しい。私共のお客様はほとんどグローバル展開をしているので、約3年にわたる超円高はお客様の経営を圧迫し、我々サプライヤーも生残りをかけてコストダウンに取り組んできた。しかし変化が早いこの時代に対応するのは大変である。しかしダーウィンの進化論にあるように、「最も大きいものが生き残るのではなく、最も強いものが生き残るのでもない。環境に適応できるものだけが生き残る」を肝に銘じて。
【年頭挨拶全文】
新年明けましておめでとうございます。
私は昨年の定期総会において副会長に選出いただきました高橋でございます。
さて昨年の世界経済は欧州の債務問題、中国の景気減速に伴い、アジアの成長にも減速感が出てきました。このような状況の中、我々中小中堅製造業は、新興国との競争にさらされ、大変厳しい状況が続いています。このような製造業の立場から、経営者協会を通して情報を発信していくことが、副会長としての私の役割だと思う。
中小中堅の製造業にとって超円高が長引く中、現在の日本の法制度、法人税、CO2排出規制等の環境規制、経済連携の遅れ、そしてエネルギー政策は、誤解を恐れずに申すならば、「製造業は国内から出て行け」と言っているに等しいと思う。今年度中にも質の高いTPP交渉に参加しないと、出来上がったルールを受けいれるか否かの二社択一の選択しか出来なくなり、それこそ国益を損なうと思う。戦後の日本の繁栄は、自由な貿易が出来ることで可能になったのだから、相手の国で商売をさせてもらっているなら、日本でも相手を受け入れなければならない。難しい問題が多くあることは承知の上で、これを乗り越えなくては、将来豊かさを維持出来なくなり、日本は今の豊かさに負けた国として記憶されてしまう。
今後、世界のそして日本の経済動向は予断を許さない状況ではありますが、内向き・下向き・後ろ向きの中からは不安と絶望しか生まれてきません。外向き・上向き・前向きの中からこそ希望が生まれてきます。皆様と一緒に頑張ってまいりましょう。
昨年の定期総会において副会長に選任され、最初の新年号の年頭挨拶を寄稿した。
年頭挨拶は会長・鬼澤邦夫氏(㈱常陽銀行 代表取締役会長)、茨城県知事・橋本昌氏、経団連会長・米倉弘昌氏の挨拶に続いて、副会長の小濱裕正氏(㈱カスミ 代表取締役会長)、佐藤修二氏(㈱日立ライフ 取締役社長)、木村和弘氏(日鉄住金鉱化㈱代表取締役社長)、そして私は「外向き・上向き・前向きの中から希望が生まれる」と題し年頭挨拶を行い、最後に専務理事・清水賢一氏で締めくくられている。
会報誌「茨城経協」は26ページで県内の情勢・報告が多数掲載され700社を超える経営者の貴重な情報誌になっている。
「新年明けましておめでとうございます。
㈱協立製作所は、建設機械に使用される油圧機器及び油圧部品を専門に製造している会社です。
さて昨年の世界経済は欧州の債務問題、中国の景気減速に伴い、アジアの成長にも減速感が出てきました。このような状況のなかで中小中堅の製造業は、新興国との競争にさらされ、大変厳しい状況が続いています。更に超円高が長引く中、現在の日本の法制度、法人税、経済連携の遅れ、そしてエネルギー政策による電気代の高騰は、誤解を恐れずに申しあげるならば、「製造業は国内から出て行け」と言っているに等しいと思う。
私が㈱協立製作所に入社してすぐに、第一・第二次のオイルショックに見舞われ、1985年プラザ合意による円高ショック、90年のバブル崩壊、97・98年の金融危機、2008年のリーマンショックと過去6度の困難を乗り越えてきました。今回の不況は何と呼ばれるか分かりませんが、リーマンショックに匹敵する不況と認識しています。その中で常に「挑戦と創造」をキーワードに現実を直視し、乗り越えて来ました。
今後、世界のそして日本の経済動向は予断を許さない状況ではありますが、内向き・下向き・後ろ向きの中からは不安と絶望しか生まれてきません。外向き・上向き・前向きの中からこそ希望が生まれて来ると信じています。明日を信じ社員がベクトルを合わせて挑戦してまいります。」
昨年、12月末に筑西市商工会から会報誌「あじさいメール」1月号に、「平成25年を迎えて」のページに寄稿してほしいと依頼があった。
あじさいメールは8ページで構成されていて、橋本会長挨拶、平成25年を迎えて、協和商工会レポート、会員研修会報告・女性部華道講習会、筑西市警察より・筑西市賀司交歓会、さぁ、出かけましょう、確定申告の留意点・税務相談開催、会員情報・事務局便り と地域密着の情報を掲載している。筑西市は下館市・協和町・関城町・明野町の 1市3町が合併し、商工会も3町が合併し筑西市商工会、下館市は商工会議所が単独で運営している。橋本会長は協和町出身で旧知の方でもあるので、快く寄稿させていただいた。
以下、表紙、寄稿文、「平成25年を迎えて」を載せました。
Q-景気の流れを踏まえて、どのような取り組みを行っていきますか。
A-「厳しい見方をしており、リーマン・ショックに匹敵する対応が必要と考えている。すでに残業なし、一時帰休を実施している。時間に余裕が出てきたので、納期遅れゼロ、客先クレームゼロ達成に向けた人材育成の取り組みを強化している。リーマン、東日本大震災から立ち直って、12年は過去最高の売上を達成した。納期対応のための無理が、無駄を生む構図になっていた。製造業が世界との競争で、勝ち残るには人しかないと思っている。13年は一度リセットして改善活動や、社員教育をこれまで以上に強化する時期としたい」
Q-世界の景気の動きは予断を許さない状況ですが、一方の茨城県内の経済状況はいかがでしょうか。
A-「県内も楽観できない経済環境だと思う。12年11月末までで県内高校生の就職内定率は69.7%。1500人が、まだ内定をもらっていないと聞いている。 約150の茨城産業人クラブの会員企業でも、業種や企業規模、個別の事案に応じて、好不調それぞれあると思う。こうした時にこそ、産業人クラブの活動を通じて、会員間の意見交換を深めて、経営改善に、役立てて欲しい」
Q-茨城産業人クラブの13年の方針は。
A-「会員増強と、会員間におけるビジネス情報の交流の場の拡充、後継者育成などを毎年のスローガンとしている。昨年は、日立製作所など県内に立地する大手企業の生産部門の責任者による討論会『工場長サミット』の開催や、茨城県つくば市にある産業技術総合研究所との交流会などを実施した。また、ニッチ市場ではあるがトップシェアを持つ県内中小企業経営者数人による討論会や、新日鉄住金の鹿島製鉄所の見学会も行った。今年も趣向を凝らした取り組みを実施し、交流の場を実りあるものにしていく予定だ」
Q-会員各社にひと言お願いします。
A-「厳しい経済環境の時こそ、社会環境の変化に柔軟に対応することは不可欠。協立製作所の経営理念は『挑戦と創造』で、これは、私が協立製作所の社長に就任して以来、常に行動してきた結果を文字にした。常に挑み続け、立ち止まることのない経営を目指している。そのためには、茨城産業人クラブを軸にそれぞれの立場で情報交換し、経営の質を高め合うことが、私にとって、かけがえのないものになっている。内向き・下向き・後ろ向きの中からは不安と絶望しか生まれてこない。外向き・上向き・前向きの中からこそ希望が生まれてくると信じている」
「産業人クラブの一層の活性化が会員各社の経営・事業にも大きな刺激を与え、希望を見いだしていくと思う。先人たちの築いてきた産業人クラブの歴史をさらに発展させるよう微力だが、力を注ぎたいと思う。今年も会員のみなさまの協力をお願いしたいと思う」
昨年12月7日、水戸三の丸ホテルにおいて、日刊工業新聞社の水戸支局長から 約2時間のインタビューを受けた。2013年1月1日付け、2012年産業人クラブ新会長のインタビュー記事が掲載された。
記事の前段要約では
2013年が幕を開けた。安倍晋三首相による日本経済復活に向けた政策に産業界は大きな期待を寄せている。全国各地の中堅・中小企業経営者を中心に組織する産業人クラブは支部を含め30組織あり、会員は1800人。日刊工業新聞社の支社・総局・支局が事務局を務める。異業種交流組織の草分けとして14年には栃木産業人クラブなどが創立50周年を迎える。地域を越えた産業人の交流は、ビジネスのヒントになるだけでなく、経営者同士の絆を強固にする。年頭にあたり、茨城、栃木、新潟の各産業人クラブ会長に今年の抱負を聞いた。
以下一問一答形式。
Q-景気は不透明感が払拭されません。
A-「2012年7月に茨城産業人クラブ会長に就任した時から比べて、厳しさが増していると思う。円高は長期化し、さまざまな法整備や税の問題、さらにエネルギー問題など課題は山積みだ。例えば電気代の値上げの問題では、わが社は年間4000万円の負担増になる。コストの中で電気使用の占める割合が、高い企業はもっと大変だと思う」
Q-建設機械用油圧機器向けの部品の加工が主力ですが、建機の巨大市場である中国は混迷しています。
A-「世界の建機市場の半分は中国。当社の主力ユーザーが戦う油圧ショベルの市場はマイナス成長が続いている。中国は政治・経済の混迷が複雑に絡み合い楽観できない。一方で、日本や米国、アフリカの市場は好調。12年12月に南アフリカ共和国とザンビアを訪問し大型建設機械を使った露天掘りの鉱山などを視察したが、市場に勢いを感じた」
新年明けましておめでとうございます。こうして皆様の元気なお顔を拝見し大変嬉しく思います。
昨年の世界経済は、ギリシャ・スペイン・イタリアの債務問題が、引き続きヨーロッパ経済の停滞を招き、この影響により中国経済や好調だったインドネシアを初めとする新興国の経済も昨年中盤から大きく後半しました。北米は財政問題を抱えているものの堅調で、資源国であるアフリカも堅調に推移しました。
一方日本経済は、超円高が続く中で、時代に会わない法規制や税金問題に加えて、エネルギー政策による電力料金の大幅値上は「製造業は国内から出て行け」と云われているに等しいとおもう。震災復興で需要はプラスに作用しているものの、世界経済の減退、とりわけ中国経済の影響を受け、輸出が大きく後退しました。このような中で、我々㈱協立製作所は受注の大幅な減少を余儀なくされ、やむを得ず10月から一時帰休を始めました
我々にとって2013年は大変厳しい状況が続くものと予想されます。年末から円安に触れているものの、新興国との価格競争を余儀なくされる状況に変わりはありません。我々のとるべき方策は、安全第一の下、客先クレームゼロとお客様指定納期100%の確保です。これが達成できれば、コストダウンも実現でき、競争に打ち勝つことが出来ます。
一
現在、産業人クラブは、東京、大阪など全国に27カ所あり、総会員数 約2,000名を数えます。茨城産業人クラブは、日刊工業新聞社茨城支局が事務局を務め、県内の製造業、金融機関、大手企業の工場、支社・支店など会員数は約150。名誉会長は橋本昌茨城県知事で、茨城県商工労働部長や筑波大学、茨城大学などが参与として参加しています。講演会や意見交換会、工場見学などの活動を通して、会員相互の交流、経営強化などを促しています。各地域の産業人クラブとの連携・交流も近年は盛んになっています。
昨年の東日本大震災では、会員各位におかれまして、大変な被害を受けたこととお察しするとともに、心からお見舞い申し上げます。この一年あまり、従業員・関係者が一丸となって結束し、この難局を打開してきたことと思います。
復旧・復興に向けた取り組みのなかで、景気は緩やかな回復を示してきました。ただ、今後の経済環境も、なお楽観できません。今年度の国内GDP成長では2%台半ばが予想されています。ギリシャ議会選挙で、財政緊縮派が勝利し、ギリシャがユーロに留まることになったとはいえ、依然として欧州経済の不安は尽きません。また、国内では大飯原発の再稼働が決定しましたが、エネルギー問題そのものが解決したとは言い難い状況です。県内経済の見通しも楽観視するほどの材料はありません。
こうしたなか、変化に柔軟に対応することは不可欠です。協立製作所の経営理念は「挑戦と創造」です。これは、私が社長に就任して以来、常に行動してきた結果を文字にしました。常に挑み続け、立ち止まることのない経営を目指すためには、茨城産業人クラブを軸にそれぞれの立場で情報交換し、経営の質を高め合うことが私にとってもかけがえのないものになっています。内向き・下向き・後ろ向きの中からは不安と絶望しか生まれてきません。外向き・上向き・前向きの中からこそ希望が生まれてきます。
産業人クラブのさらなる活性化がみなさまの経営・事業にも大きな刺激を与え、希望を見出していきたいと思っています。先人たちの築いてきた産業人クラブの歴史をさらに発展させるよう微力ではありますが、力を注ぎたいと思います。みなさまのご協力をよろしくお願い申し上げます。