山陽道・西国街道旅日記 四日目(P24~26/P89)

267-1.jpg昼食は高森駅近くのステーキ専門店「高森亭」に入り、冷たい水を何杯もお代わりしてから200gのランプステーキ定食を注文し、英気を養った。昼食後、12時半に出発し、新岩国駅を通って、今夜の宿泊地岩国宿に向けて歩き出した。周りの景色を見ると、小高い山々が見え、道路沿いには様々な店があり、私の地元と変わらない風情だ。東川の橋を渡り、進んで行くと、左側に岩徳線と国道2号線が平行しているのが267-2.jpg見える。

玖珂本郷宿を通り、絵地図に記してある欽明寺に行こうとした。絵地図で見ると欽明寺は道路沿いにあるものと思い、疑いもなく欽明路道路の標識がある道を進んで行った。順調に歩いて行くと、トンネルが見える。絵地図では右に迂回して行くようになっているが、道が見当たらない。トンネルの抜け出たばかりとみられる人が、出口の空地に座り込んでいる30歳代の人がいた。私よりも重装備して、歩いて旅をしているようだ。挨拶を交わすと、このトンネルの歩
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道は大変狭く、歩くのに危険だから気を付けてとアドバイスがあった。お礼を言って、別れを告げ、トンネルの中を進んで行った。

トンネルの中は歩道と呼べるようなものではなかった。歩道は車の路面より15cm高くなっていて、歩道というより側溝で、幅は肩幅と同じくらいの約60cm、側溝には蓋が置かれているが、蓋と蓋の間には大きな隙間がある。躓いて車道側に転ぶと車に接触してしまう恐れがある。このトンネルは交通量が多い。立ち止まったままでも10t車が来ると、風圧で体が引き込まれそうになる。慎重に蓋の隙間に躓かないように、足元をしっかり見定めて歩いて行くが、意外と真直ぐに歩くのは難しい。
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車道側に体が行かないように、気を付けていると左側に体が傾き、その都度左側の壁に腕をこすりつけ、態勢を真直ぐに立て直す。何度も同じことが起こった。大げさに言うと、人生でこれほどの緊張感を持ったことはなかった。右に体が傾くとトラックと接触事故、ドライバーもまさかこのトンネルに歩行者が入るとは思ってもいないと思う。ようやく出口の明かりが見えてきた。通過するのに約20分かかったが、通過した時の安堵感は近年経験したこと がない。後に調べてみると欽明路トンネルというのだそうだ。最初、絵地図を見た時、トンネルの手前に旧山陽道があるように見えるので、疑わずに来てしまった。もと来た道を戻って旧山陽道に行くには、予定の到着時間を大幅に超えて、暗くなってから旅館に着く恐れがあったので、このままトンネルの中を行くことにした。計画は慎重に作らないといい結果が出ない。このような事故に遭う可能性のある計画はしてはならない。

次にトンネルがあったが、300mくらいか、出口の明かりが見える。側溝の幅は1m程度、それほど神経を使わずに済むので、歩きやすい。次のトンネルは同じく300mくらいで側溝の幅は60cm、出口の明かりが見えるので、しっかり足元を見て歩いた。トンネルを出て御庄川を渡るとコンビニがあったので、中に入り、水を買ってから、トイレを借りた。左腕とシャツが埃だらけ、左の壁に擦って着いた汚れを落とすため、腕を洗い、シャツを着替えて、岩国に向った。道なりに進んで行くと、ここは御庄宿だ。岩徳線川西駅を右手に見て川西交差点を左に曲がり、右に小野畳店の十字路を右に曲がり、錦川の臥龍橋を渡って、最初の信号を左に曲がり、錦川沿いを進んで、錦帯橋の入り口に着いた。見事な5連のアーチからなる木造橋だ。橋の入り口には案内板があり、「錦帯橋は延宝元年(1673)第三代岩国藩主吉川広嘉によって創建された。
それまでの橋は、錦川の洪水の度に流されたが、 広嘉の斬新な発想と藩の技術者のたゆまぬ努力によって現在の橋が出来た。
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その後台風により橋は流失し、昭和281月に再建され、現在の橋は、平成13年度から平成15年度にかけて橋を架け替えられた。橋の長さは、橋面にそって210m、直線で193.3m、幅5m、橋脚の高さ6.64mとなっている。錦帯橋といえば、周囲の景観と調和した美しい姿が特徴ですが、木組みのアーチや橋脚、その橋脚を支える敷石等の技術は、現代の土木工学においても通用する技術である」と記されあった。

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宿泊の末岡旅館は5分程で着いた。昭和の初めに建てられ、ろくに修理もしていないと、フロントのご主人が自嘲的に話した。部屋に案内されると8畳二間で広いが、トイレ・風呂は共同である。コロナの非常事態で観光客の姿も少なく、宿泊客は私一人だった。お好み焼きが食べたくなり、10分程で店に到着したが、閉店だった。他にも当たったが同じだった。仕方なくコンビニで食事とおつまみ・ビールを買い、部屋に戻って食事をとった窓から見る錦川と河原、錦帯橋と奥の山の頂上には岩国城が見える。

267-7.jpgその景観を眺め、ビールを飲んだ。本日は43.5km62,182歩の旅のだった。両足の小指が痛い。明日は歩き出すまでが大変だ。明日の天気は晴れの予報だ。9時に就寝した。

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